ブログ

ブログ

50代からのV字回復を実現する24の鍵~第3の鍵「健全な危機感」

人間は本能的に「変わりたくない」生き物です。それは、例えいま上司から毎日嫌味を言われるような苦しい状況に追い込まれていたとしても、あるいは、自分よりずっと若い上司に顎で使われるような状況であったとしても、です。なぜなら、いまどんな状況だとしても、昨日はとりあえず無事に過ごせたので、「昨日と同じようにしてさえいれば安全」という心理が本能的に働くからです。人間の欲求の中でも一番基本的な欲求が「安全欲求」なので、このような心理が強く働くのはごく自然なことなのです。

 

特に、大企業に勤めている人の場合は、何の前触れもなく明日から給料が下がるということはほぼなく、基本的には生活は守られているので、どれほど業績が悪く評価が低くても、基本的にはあまり自分を変えようという強い心理は働きません。

 

実は、V字回復を目指す場合に、最も厄介なのが、この「変わりたくない」という「安全欲求」です。「安全欲求」自体をなくすことは絶対に不可能なので、なくすのではなく、「安全欲求」の上に、どれだけ「成長欲求」と「貢献欲求」を持てるようになるかが最大の鍵となります。つまり、自分自身が人間として成長していくことや、他の人々や社会に貢献することに、楽しく充実したイメージを持てるかにかかっているということです。

 

そんな建設的なイメージを持てた時に初めて、人は「自分も変わらなきゃ!」と思えるわけです。逆に言えば、「自分も変わらなきゃ!」いう気持ちが持てなければ、どんな良いプログラムに参加しても何も変わりません。ですから、「変わらなきゃ!」という気持ちを強く持ってもらうことが必要最低条件なのです。

 

「成長欲求」や「貢献欲求」を持ってもらう方法については、後々順番に解説していきますが、まずはいち早く「変わらなきゃ!」という意識を持ってもらうことも必要になります。それが「健全な危機感を醸成する」という方法です。

 

つまり、「このままじゃまずいんだ!」と感じてもらうということです。これだけ時代が激変し、先が見えない時代になっても、多くの企業人は、独立自営業者や経営者から見れば、ぬるま湯に浸かっていると言えます。私たち自営業者は、いつ売上がなくなるかわからないわけですから、常に危機感を持って生きていますが、大手企業に勤めているビジネスパーソンの場合は、先々の給料が保証されているわけですから、「危機感を持て」と言われてもピンとこないのも無理はありません。

 

しかし、その「まあ今のままでも何とかなるだろう」という甘い考えこそが、ビジネスパーソンとしての成長を阻み、スキルや生産性を劣化させていく元凶なのです。そのことにまずは気づいていただく必要があります。

 

「健全な危機感を醸成する」ためには、次のような方法が最も効果的です。

 

私は「未来のシミュレーション」と呼んでいますが、40年ほど先まで予定を書き込める一覧表のようなワークシートを準備し、「いまのまま行ったら、20年後、30年後、40年後はどんな人生になっているか?」を冷静に予測してもらうのです。

 

その際に、ワークシートの縦軸には、自分の年齢だけでなく、大切な家族の年齢も併せて入れてもらった上で、未来を予測してもらいます。このワークをやっていただくと、多くの人は、まず両親の残された時間が短いことに気づきます。その次に、子どもたちと一緒に過ごせる時間も限られていることに気づきます。

 

そして、多くの人は、「定年退職してもまだ働かないといけないから、シルバー人材センターにでも登録して働かないといけないでしょうね。安い給料しかもらえないでしょうけど…」と言います。

 

さらには「老後は妻と二人寂しい老後になりそうな気がします。その頃は年金もあまり出ないでしょうしね…。そうすると孫も寄り付かないかもしれませんね。…あ、ひょっとしたら、女房にも愛想をつかされて出ていかれちゃうかも…」と苦笑いを浮かべる人もいます。

 

私が、「それはみなさんの望まれていた人生でしょうか?」と尋ねると、10人中8人くらいは、「望んでいないです」と答えられます。

 

ここでさらに「80歳くらいになり、お孫さんに『おじいちゃんはどんな仕事をしていたの?』と聴かれた時、ご自身のやってこられた仕事を、誇りを持って嬉々として語れますか?」と畳みかける方法もあります。

 

このようにして、未来をしっかりと見据えてもらうことで、「このままではまずい!」という「健全な危機感」を持ってもらうことは、意識を大きく変えていただく上で、とても重要なきっかけになるのです。